「自動化ツールって、結局いくらかかるのか?」ユーザー、これから使おうと思っている方はこれが一番知りたいところで気になるところでしょう。
別記事でZapierやMakeとの比較を取り上げましたが、その中でn8nが圧倒的に安いという話をしました。この記事では、その料金の中身を詳しく見ていきます。結論から言うと、n8nには「無料で無制限に使える方法」があります。しかも有料プランも、Zapierの数分の一という価格設定です。読み終わる頃には、自分に最適なプランが見えてくるはずです。
n8nには2つの使い方がある
n8nには、大きく分けて2つの使い方があります。
1つ目は「インストール版(セルフホスト)」と呼ばれる方法で、自分のパソコンやサーバーにn8nをインストールして使います。こちらは基本的に無料で、実行回数に制限はありません。2つ目は「クラウド版」で、n8n社が用意したサーバーを借りてブラウザからアクセスして使う方法です。こちらは有料プランですが、14日間の無料トライアルが用意されています。それぞれの中身を見ていきましょう。
インストール版(セルフホスト)
料金は0円、実行回数は無制限。これがn8n最大の魅力です。「無料で無制限」というと何か裏があるように聞こえますが、本当に無料です。条件は1つだけ、「自分の環境にインストールして動かす」ことです。このサイトでもこのセルフホストを中心に説明しています。
インストール先は、自分のパソコンでも、会社のサーバーでも、借りたVPS(レンタルサーバーの一種)でもかまいません。どこにインストールしても実行回数に制限はなく、すべての基本機能が使えます。自分のパソコンにインストールする場合は、追加の費用は一切かかりません。まずは試してみたい人には、この方法がおすすめです。
対応OSも幅広く、Windows 10/11、Mac(Intel・Apple Silicon両方)、Linux(Ubuntu、Debianなど)で動きます。スペックも特別高性能なパソコンは必要なく、ここ数年以内に買ったパソコンであれば問題なく動作します。詳しい動作環境については別記事で解説しています。
ただし注意点が1つあります。n8nを24時間動かし続けたい場合は、パソコンの電源を入れっぱなしにする必要があります。これは電気代の面でも、セキュリティの面でも、あまり現実的ではありません。また停電になったときも重要なワークフローを動かしている場合は停止してしまいます。そこで登場するのがVPSサーバーですが、これについては後ほど詳しく説明します。
クラウド版の3つのプラン

クラウド版は、n8n社が用意したサーバーを借りて使う方法です。インストール作業が不要で、ブラウザでログインするだけですぐ使い始められます。まずは14日間の無料トライアルで試せて、クレジットカードの登録も不要です(Business以上を除く)。クラウド版には3つのプランがあります。
Starterプラン
料金は月20ユーロ(年間契約時)/月24ユーロ(月契約時)、実行回数は月2,500回まで。クラウド版の入門プランです。共有プロジェクト1個、同時実行5個まで、ユーザー数無制限、AIワークフロー作成クレジット50回分、コミュニティフォーラムでのサポートが含まれます。月2,500回の実行は1日あたり約80回にあたり、個人で使う分には十分な量です。(2026年5月現在1ユーロ185円と換算すると3700円ほど)
Proプラン
料金は月50ユーロ(年間契約時)/月60ユーロ(月契約時)、実行回数はカスタム設定可能。個人開発者や小規模チームが本格的に運用するためのプランです。Starterプランに加えて、共有プロジェクト3個、同時実行20個まで、ワークフロー履歴の保存、実行ログ検索、管理者ロール設定、AIワークフロー作成クレジット150回分が使えます。複数人で使ったり、本番環境で動かしたりする場合は、このプランが選択肢になります。(2026年5月現在1ユーロ185円と換算すると9250円ほど)
Businessプラン
料金は月667ユーロ(年間契約時)、実行回数は月40,000回。中小企業向けのプランで、個人で使うには高すぎますが参考までに紹介します。SSO、SAML、LDAP対応(企業の認証基盤と連携)、Git連携でのバージョン管理、開発環境と本番環境の分離、ワークフロー履歴30日保存などが特徴です。「会社全体で自動化を導入する」段階になったら検討するプランです。(2026年5月現在1ユーロ185円と換算すると12万円ほど)
「ワークフロー単位」課金が生む圧倒的なコスパ

料金の話で絶対に知っておくべきことがあります。それは、n8nが「ワークフロー単位」で課金するという仕組みです。
Zapierは「1ステップごと」に課金します。上の図を見てください。たとえばGmailからメールを受信して、内容をAIで要約して、Slackに通知する、というワークフローは3ステップなので、3回分カウントされます。n8nはこれが違います。どんなに複雑でも、1回動けば「1実行」とカウントされます。
具体例で比較してみましょう。100件のデータを処理するワークフローを1日1回動かすとします。Zapierの場合、1件あたり3ステップ × 100件で300タスク消費、月間では300タスク × 30日で9,000タスクとなり、中位プランが必要になります。一方n8nなら、1日1回の実行は1実行と数えるだけなので、月間でも30実行。無料プランでも余裕です。この差は、使えば使うほど大きくなります。「n8nが圧倒的に安い」と言われる理由は、ここにあります。
ここで「無料で使えるのに、n8nはどうやって儲けているの?」という疑問が湧くかもしれません。答えは「オープンコア戦略」と呼ばれるビジネスモデルです。基本機能はオープンソース(無料)で公開し、企業向けの高度な機能(SSO、Git連携、監査ログなど)を有料で提供する。この仕組みで収益を上げています。無料ユーザーが広めてくれることで認知度が上がり、その中から企業ユーザーが有料契約する流れです。実際、2025年10月にシリーズCで1億8,000万ドル(約270億円)を調達し、評価額は25億ドル(約3,750億円)に達しました。無料で使えるツールの運営会社がこれほどの評価を受けているということは、無料で使い続けてもサービスが突然終わる心配は少ないと考えていいでしょう。
コスパ最強の選び方とプラン早見表
n8nを最安値で使う方法は、結論から言うとシンプルです。まずは自分のパソコンにインストールして、無料で試す。これなら追加費用は一切かからず、実行回数も無制限です。「使ってみて便利だった」「本格的に自動化を始めたい」と感じたら、次のステップに進みます。
ここで出てくるのが「24時間動かし続けたい」という課題です。たとえば「毎朝7時にメールを自動送信する」という自動化を作った場合、自分のパソコンにn8nをインストールしていると、パソコンの電源が切れていれば当然この自動化は動きません。
選択肢は2つあります。1つは自分のパソコンを24時間つけっぱなしにする方法で、追加費用はかからないものの電気代は多少増え、セキュリティ面の不安やパソコンの寿命を縮める懸念もあります。もう1つはVPS(レンタルサーバー)に移行する方法で、月1,000円前後の費用がかかるものの、24時間安定して動き、セキュリティも担保され、自分のパソコンとは独立して動かせます。本格的に自動化を運用するなら、セキュリティの観点からもVPSがおすすめです。
VPSとは、Virtual Private Serverの略で、ひと言で言えばインターネット上にある「自分専用の小さなパソコン」のことです。24時間稼働しているので、自分のパソコンを起動していなくてもn8nが動き続けます。日本で人気のVPSサービスとしてはConoHa VPS(月約900円〜)、さくらのVPS(月約1,600円〜)、Xserver VPS(月約830円〜)などがあり、どれもn8nが動く最低スペックは用意されています。この他にも複数のVPSサービスがあり、料金や特徴がそれぞれ異なります。下記の比較表を参考に、自分に合ったサービスを選んでみてください。
| サービス名 | 月額目安(2GBプラン) | ストレージ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Xserver VPS | 約830円〜 | 50GB | 国内シェア上位、長期契約で大幅割引、初心者にも人気 |
| ConoHa VPS | 約900円〜 | 100GB | 時間課金あり、管理画面が分かりやすく初心者向け |
| さくらのVPS | 約1,600円〜 | 100GB | 2010年からの老舗、安定性に定評、SiteGuard標準搭載 |
| KAGOYA CLOUD VPS | 約970円〜 | 50GB | 日額課金あり、柔軟なスケールアップ・ダウンが可能 |
| シンVPS | 約620円〜 | 50GB | Xserver系列の後発サービス、高機能でコスパが高い |
| WebARENA Indigo | 約750円〜 | 80GB | NTT系、時間課金あり、シンプルなプラン構成 |
| ABLENET VPS | 約1,000円〜 | 100GB | 豊富なテンプレート、ゲームサーバー用途にも対応 |
なお、上記の月額はLinux版の最安契約時の目安です。Windowsサーバーを選ぶ場合はライセンス料が加わるため、同じスペックでも2〜3倍程度の料金になります。n8nの公式ドキュメントもLinux前提で書かれているため、コストと相性の両面でLinuxを選ぶのが基本です。「Linuxは難しそう」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、n8nをVPSで動かす場合、Linuxの黒い画面(ターミナル)に触れるのはほぼ最初のセットアップ時だけで、その後はブラウザ上のn8n画面を操作するだけになります。各VPS会社が用意しているテンプレート機能を使えば、コマンド入力すらほとんど不要で立ち上げることもできます。VPSの具体的な選び方やn8nのインストール手順については、別記事で詳しく解説します。

他のプランとコストを比較すると、以下のようになります。
| 使い方 | 月額目安 | 実行回数 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 自分のパソコン+n8n無料版 | 0円 | 無制限 | まず試してみたい・追加費用をかけたくない |
| VPS+n8n無料版 | 月1,000円前後 | 無制限 | 24時間自動化したい・本格運用したい |
| n8n Starter(クラウド版) | 月20ユーロ〜 | 月2,500回まで | インストール作業を避けたい・手軽に始めたい |
| Zapier Professional | 月74ドル〜 | 月2,000タスクまで | (参考:他社の同等プランとの比較用) |
無料で始められて、本格運用しても月1,000円。これがn8nの圧倒的なコストパフォーマンスです。
「結局、どれを選べばいいの?」という方のために、選び方の目安をまとめます。
- まずは無料で試したい → 自分のパソコンにインストール版
- クラウドで手軽に試したい → クラウド版の14日間無料トライアル
- 24時間自動化したい・費用を抑えたい → インストール版 + VPS
- 技術的なことは避けたい・月数千円は払える → クラウド版 Starterプラン
- 複数人で使う・本番運用したい → クラウド版 Proプラン
- 会社全体で導入する → クラウド版 Businessプラン
迷ったら、まずは自分のパソコンにインストール版を入れて無料で触ってみるのがおすすめです。使い方が見えてきたら、次のステップに進みましょう。n8nの評価額が3,750億円に達しているという事実は、投資家たちが「n8nは今後さらに成長する」と判断していることを意味します。自動化ツールの市場はAIの進化とともに爆発的に大きくなると予測されており、その中心にいるのがn8nです。今n8nを学ぶことは、成長市場の中心にある技術を身につけることにつながります。n8nでできることの詳細については、別記事で詳しく解説します。


